IT導入補助金は2026年から「デジタル化・AI導入補助金」という名前で公募されています。名前にAIが入ったことで、生成AIのツールや研修にも使えるのか、いくら補助されるのか、個人事業主でも申請できるのかといった疑問が増えました。この記事では、事務局が公表している公募要領と申請数・交付決定数をもとに、制度の仕組みと申請枠、要件、流れ、2026年のスケジュールを順に整理します。
結論:デジタル化・AI導入補助金は、登録されたITツールの導入費の一部を補助する制度です
デジタル化・AI導入補助金は、中小企業や小規模事業者が生産性向上のためにITツールを導入する費用の一部を補助する制度で、2025年まで「IT導入補助金」と呼ばれていたものです※1※3。補助の対象は、事務局に登録されたIT導入支援事業者が提供し、事務局の審査を経て登録されたITツールに限られます。自社で選んだソフトウェアを買ってから申請する制度ではない点が、最初に押さえるべき特徴です。
| 問い | 答え(2026年10月26日時点) |
|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金とは | 中小企業・小規模事業者等が登録済みのITツールを導入する費用の一部を補助する制度で、旧IT導入補助金にあたる |
| 誰が運営しているか | 中小企業基盤整備機構が実施し、事務局業務はTOPPAN株式会社が運営する |
| いくら補助されるか | 通常枠は5万円から450万円まで。補助率は原則2分の1以内 |
| 申請のしかた | IT導入支援事業者と組み、申請マイページから事務局へ交付申請する |
| 次の締切 | 第6次は2026年10月30日17時、第7次は12月1日 |
補助を受けるには、交付決定を受けてから契約と支払いを行い、導入後の実績報告と、その後3年間の効果報告まで続ける必要があります。ツールを選ぶ前に、どの業務の何を変えたいのかを社内で決めておくと、事業計画の数値も書きやすくなります。
デジタル化・AI導入補助金とは(旧IT導入補助金との関係)
公募要領は、働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイスの導入といった制度変更を、中小企業・小規模事業者等が相次いで迎えることを事業の背景に挙げています※1。そのうえで、生産性向上に役立つITツールの導入費の一部を補助することを目的と定めています。ITツールの定義には「ソフトウェア(AIを含む。)」と書かれており、AIを搭載したソフトウェアも登録されていれば補助の対象に含まれ得ることが明記されました。
事務局のサイトでは、制度名を「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」と表記しています※3。IT導入補助金2022から2025までに交付決定を受けた事業者には、生産性や賃上げの目標を高めに設定する要件と、審査での減点があります。名前が変わっても過去の利用歴は引き継がれると考えて準備してください。
実施機関・事務局・IT導入支援事業者の役割
この補助金は、申請者が単独で事務局に申し込む形ではありません。IT導入支援事業者と申請者が共同事業体となり、事務局へ各種の申請を行う仕組みです※1。関係する主体と役割は次のとおりです。
| 主体 | 役割 |
|---|---|
| 中小企業基盤整備機構 | 補助事業の実施機関として事務局を指示・指導する |
| 事務局(TOPPAN株式会社) | IT導入支援事業者とITツールの登録、交付申請の受付と審査、補助金の交付を行う |
| IT導入支援事業者 | 登録したITツールの提案と導入、申請のサポート、導入後のアフターサポートを行う |
| 申請者(補助事業者) | ツールを選び、申請マイページで事業計画を確認して宣誓し、交付申請と報告を行う |
申請マイページのログインIDとパスワードは、IT導入支援事業者を含む第三者に渡してはいけないと定められています※1。手続きの入力を販売会社に任せきりにせず、申請者自身が内容を確かめてから提出することが求められています。
人材開発支援助成金との違い
AIの導入を考える会社がよく比べるのが、厚生労働省の人材開発支援助成金です。人材開発支援助成金は社員の訓練にかかる経費や訓練中の賃金を助成する雇用保険の制度で、研修の進め方は人材開発支援助成金の記事で整理しています。デジタル化・AI導入補助金は、ツールの導入費を補助する経済産業省所管の制度で、目的も窓口も異なります。
| 項目 | デジタル化・AI導入補助金 | 人材開発支援助成金 |
|---|---|---|
| 対象の費用 | 登録済みITツールのソフトウェア費・クラウド利用費と関連する役務費 | 職業訓練の経費と訓練中の賃金 |
| 申請の相手 | IT導入支援事業者と組んで事務局へ申請 | 事業主が労働局へ申請 |
| 研修の扱い | 登録ソフトウェアと対になる導入研修だけが役務として申請できる | 訓練そのものが助成の中心 |
ツールの使い方を教わる導入研修は、ITツール登録時にソフトウェアと対になっている役務に限って申請できる扱いです※1。社員向けのAI研修を単独で受けたい場合は、この補助金ではなく助成金の側で検討することになります。
申請枠と補助額・補助率(いくら補助されるか)
2026年の公募には5つの申請枠があり、枠ごとに補助額、補助率、対象になるツールの条件が決められています※1。通常枠の公募要領の冒頭にある一覧を、主な項目に絞って並べると次のようになります。
| 申請枠 | 補助額 | 補助率 | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 5万円から150万円未満、150万円から450万円以下 | 2分の1以内(条件を満たすと3分の2以内) | 業務プロセスを持つソフトウェア、クラウド利用費、導入関連費 |
| インボイス枠(インボイス対応類型) | ITツールは350万円まで、PC・タブレット等は10万円まで、レジ・券売機等は20万円まで | ITツールの50万円までの部分は4分の3以内(小規模事業者は5分の4以内)、50万円を超える部分は3分の2以内、ハードウェアは2分の1以内 | 会計・受発注・決済の機能を持つソフトウェアとハードウェア |
| インボイス枠(電子取引類型) | 350万円まで | 中小企業・小規模事業者等は3分の2以内 | 発注側が受注側に無償でアカウントを発行できる受発注システム |
| セキュリティ対策推進枠 | 5万円から150万円 | 中小企業は2分の1以内、小規模事業者は3分の2以内 | サイバーセキュリティお助け隊サービスの利用料(最大2年分) |
| 複数者連携デジタル化・AI導入枠 | 基盤導入経費と消費動向等分析経費で合計3,000万円まで(ほかに事務費・専門家費) | 経費の区分ごとに定める | 複数の事業者が連携して行う地域のデジタル化 |
同じ年度の中で通常枠に申請できるのは1回だけですが、インボイス枠とセキュリティ対策推進枠には別に申請できます。その場合も、オプションや役務の費用を二重に計上すると交付決定の取消しや全額返還の対象になると書かれています※1。
通常枠の補助額と補助率
通常枠は補助金の申請額によって2段階に分かれます。申請額が5万円から150万円未満なら、ソフトウェアに業務プロセスが1つ以上あれば申請できます。150万円から450万円以下の場合は、プロセスを4つ以上含むことと、賃上げの目標を持つことが必須の要件になります※1。
| 申請額 | 補助率 | プロセス数 | 賃上げ目標 |
|---|---|---|---|
| 5万円から150万円未満 | 2分の1以内 | 1以上 | 加点項目(過去にIT導入補助金の交付決定を受けた事業者は必須) |
| 150万円から450万円以下 | 2分の1以内 | 4以上 | 必須要件 |
補助率が3分の2以内に上がるのは、最低賃金に近い賃金で雇っている従業員が一定の割合を超える月が続いた事業者です。第7次公募からは、判定に使う期間が2025年10月から2026年9月までに改められ、2026年度改定の地域別最低賃金を基準にすると定められました※2。プロセスとは、顧客対応、決済、在庫、会計、人事・給与などの業務の区分で、汎用的なツールだけでは1つとして数えられない決まりもあります。
補助の対象になる経費とならない経費
補助の対象は、ソフトウェア購入費、最大2年分のクラウド利用費、導入関連費です。導入関連費には、機能拡張やデータ連携などのオプションと、導入コンサルティング、導入設定・マニュアル作成・導入研修、保守サポートといった役務が含まれ、役務の合計は200万円が上限とされています※1。
一方で、公募要領は次の費用を補助の対象外と定めています。
- 交付決定の前に契約・購入したITツール
- リース契約やレンタル契約のITツール(お助け隊サービスを除く)と中古品
- 補助金の申請や報告にかかる申請代行費
- 交通費、宿泊費、消費税などの公租公課
- 外部に無償で提供されているものや、申請時に利用金額が決まらないもの
申請代行費が対象外であることは見落とされやすい点です。申請の支援を有料でうたう業者から勧誘を受けた場合は、その費用は補助されないことを前提に判断してください。
対象となる事業者と個人事業主の扱い
申請できるのは、日本国内で法人登記され法人番号が公表されている法人と、国内に補助事業の実施場所を持つ個人です※1。会社の規模は、業種ごとに資本金か常時使用する従業員数のどちらかで判定します。生産活動に役立つ事業を行っていることが前提とされ、導入するツールも製品やサービスの提供に役立つものであることが求められます。
中小企業・小規模事業者の範囲
中小企業等の範囲は業種で異なります。公募要領の定義から主な業種を抜き出すと、次の表のとおりです※1。会社の場合はどちらか一方を満たせば中小企業等に含まれます。
| 業種 | 資本金の額または出資の総額 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
小規模事業者は、商業・サービス業で従業員5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他で20人以下の会社と個人事業主です。会社の役員や個人事業主本人は「常時使用する従業員」に数えません。医療法人や社会福祉法人、NPO法人なども従業員数の条件を満たせば申請できますが、これらは小規模事業者には含まれない扱いです※1。
個人事業主が申請するとき
個人事業主も申請できます。中小企業等と小規模事業者の定義には、どちらも「会社及び個人事業主」と書かれています※1。ただし、交付申請に添付する書類が法人とは異なるため、確定申告の控えの種類を早めに確かめておく必要があります。
| 確認されること | 個人事業主の書類 |
|---|---|
| 本人の確認 | 運転免許証、運転経歴証明書、または発行から3か月以内の住民票 |
| 事業の実態 | 税務署発行の所得税の納税証明書(その1かその2)と、税務署が受け取った確定申告書の控え |
| 財務の状況 | 所得税の青色申告決算書または収支内訳書 |
確定申告書の控えは、受付番号と受付日時が印字されているか、e-Taxの受信通知を添付できるものだけが認められます。税理士の印だけが押された書類は適切な添付資料として扱われないため、手元の控えの形式を事前に確かめてください※1。
対象外になる事業者(みなし大企業など)
規模の条件を満たしていても、大企業の資本や役員の影響が大きい会社は対象外です。発行済株式の2分の1以上を同じ大企業が持っている会社や、3分の2以上を大企業が持っている会社がこれにあたります※1。役員の2分の1以上が大企業の役員や職員を兼ねている会社も含まれ、こうした会社は一般に「みなし大企業」と呼ばれています。直近3年の課税所得の年平均が15億円を超える会社も対象外とされています。
親会社が議決権の50%超を持つ子会社がある場合などは「みなし同一法人」として1社しか申請できません。同じ年度にIT導入支援事業者として登録している事業者は、補助事業者として申請できない決まりもあります。グループ会社がある場合は、どの会社で申請するかを最初に決めておきましょう。
申請要件(GビズIDプライム・SECURITY ACTION・賃上げ計画)
通常枠の申請者は、公募要領に並ぶ要件をすべて満たす必要があります※1。準備に日数がかかるものを中心に挙げると、次の4つです。
- GビズIDプライムのアカウントを取得していること
- 情報処理推進機構(IPA)のSECURITY ACTIONで「一つ星」か「二つ星」を宣言していること
- 申請直近月の事業場内最低賃金が、地域別最低賃金以上であること
- 労働生産性を伸ばす3年間の事業計画を作り、実行すること
GビズIDプライムとSECURITY ACTIONは、どちらもIT導入支援事業者とは別に申請者自身が手続きするものなので、ツールを決める前に済ませておくと締切に間に合わせやすくなります。申請者が自分で管理する携帯電話番号を1つ登録することも要件で、パスワードなどはSMSで届きます。
労働生産性と賃上げの計画
事業計画では、1年後に労働生産性を3%以上、計画期間の年平均でも3%以上伸ばす目標を立てます。IT導入補助金2023から2025の通常枠などで交付決定を受けた事業者は、どちらも4%以上が求められます※1。労働生産性は「(営業利益+人件費+減価償却費)÷年間の総労働時間」で計算する決まりです。
申請額が150万円以上の場合は、1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3%以上にすることと、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高くすることが必須です※1。この賃金引上げ計画は、申請の時点で従業員に表明しておかなければなりません。目標を達成できなかった場合は、補助金の全部または一部の返還を求められると書かれています。賃上げの約束は申請のためだけの数字ではなく、3年間の効果報告で確かめられる約束として扱ってください。
第7次公募回からの変更点
事務局は2026年10月9日に、第7次公募回から制度を変えると公表しました※6。新しい公募要領では、1人当たり給与支給総額について、計画期間の年平均だけでなく「1年後」の伸び率も申請要件に加わっています※2。
| 変わる点 | 第7次公募回からの内容 |
|---|---|
| 給与支給総額の要件 | 1年後の1人当たり給与支給総額の伸び率が追加された(申請額150万円以上は3%以上、IT導入補助金2022から2025で交付決定を受けた事業者は申請額にかかわらず3.5%以上) |
| 基準にする年度 | 労働生産性は申請日の属する事業年度の前事業年度、給与支給総額は申請日の属する事業年度を基準年度とすることが明記された |
| 補助率引上げの判定期間 | 2025年10月から2026年9月までの期間と、2026年度改定の地域別最低賃金で判定する |
| 最低賃金に関する加点 | 申請直近月の事業場内最低賃金を、2026年6月の水準より55円以上引き上げていることが加点の対象になった |
第6次の締切である10月30日までに申請する場合と、第7次以降に申請する場合とでは、使う公募要領が異なります。どちらの回に申請するかをIT導入支援事業者と決めてから、該当する版の公募要領で要件を確かめてください。
申請から入金・効果報告までの流れ
公募要領が示す補助事業の流れは、事前準備、交付申請、補助事業の実施、交付後の報告の順に進みます※1。申請者の側から見ると、次の手順になります。
- 公募要領を読み、IT導入支援事業者とITツールを選ぶ(この時点では契約しない)
- GビズIDプライムを取得し、IT導入支援事業者から申請マイページへ招待を受ける
- 申請マイページで申請者情報を入力し、事業計画とツールの情報を確認して宣誓する
- 事務局へ交付申請を提出し、交付決定の通知を待つ
- 交付決定の後にITツールを契約・導入し、代金を支払う
- 実績報告を提出し、補助金の額が確定してから補助金が振り込まれる
- 導入後の効果報告を、事業計画期間の3年間にわたって提出する
補助金は導入費を先に払ったあとで振り込まれます。交付決定を受けた事業者の名称、法人番号、所在地は事務局のサイトで公表され、個人事業主の場合は所在地が都道府県までの公表となります※1。
交付決定前に契約しないことと支払い方法
最も多い失敗は、交付決定の前にツールを契約・発注してしまうことです。公募要領は、交付決定前に契約、発注、納品、支払いを行った場合は補助金を受けられないと定めており、確定検査で順番が逆だと分かった場合も交付決定の取消しになり得ます※1。
支払い方法も決まっています。補助事業者名義の口座からの銀行振込か、法人名義のクレジットカードでの1回払いが原則で、現金払いや分割払いは認められていません。個人事業主は本人名義のカードで支払います。請求書、振込の明細、ツールを使っている画面のキャプチャなどを実績報告で提出し、補助事業に関する書類は事業完了の年度の終わりから5年間保管する必要があります。
「実質無料」をうたう勧誘と、不正とされる行為
公募要領は、ITツールの販売額のうち補助事業者の自己負担を減らしたり無償にしたりする売り方を、補助金交付の目的に反する行為として扱うと定めています※1。キャッシュバックを含め、形式や時期を問わず補助事業者に実質的な還元を行うものが対象です。こうした行為が疑われると、事務局と中小機構は予告なく立入調査を行い、交付決定の取消しやIT導入支援事業者の登録取消を行う場合があります。
公募要領が不正の具体例として挙げているのは、次のような取引です。
- ポイントやクーポンを発行して購入額を減らし、証憑の金額と実際に払った金額が一致しない取引
- 購入額の一部を、口座振込や現金で申請者に払い戻す取引
- 紹介料やコンサル料などの名目で、関係者の間に資金を還流させる取引
補助金で取得したソフトウェアを他者に供与することも認められていません。「自己負担なし」「あとで戻る」といった勧誘を受けたときは、その時点で申請を見送るのが安全です。事務局のサイトでは、IT導入支援事業者の登録取消や、補助金の自主的な返還の受付も案内されています※3。
2026年のスケジュールと採択率
2026年の交付申請は3月30日に始まり、締切ごとに審査と交付決定が行われています※4。事業スケジュールのページでは、通常枠、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠の第6次締切を2026年10月30日17時と案内しています。交付決定日は12月10日、事業の実施と実績報告の期限は2027年5月31日17時で、どちらも予定とされています。中小企業庁の公募一覧には、第7次の締切が12月1日と載っています※7。
採択率という形の数字は公表されていませんが、事務局は締切ごとの申請数と交付決定数を公表しています※5。2026年10月7日更新の数字から、交付決定数を申請数で割った割合を当社で計算すると次のとおりです。
| 締切回 | 通常枠(申請数と交付決定数) | インボイス対応類型(申請数と交付決定数) |
|---|---|---|
| 第1次 | 2,028件中891件(約43.9%) | 4,324件中2,027件(約46.9%) |
| 第2次 | 1,879件中819件(約43.6%) | 3,790件中2,096件(約55.3%) |
| 第3次 | 1,913件中807件(約42.2%) | 3,982件中1,781件(約44.7%) |
| 第4次 | 1,836件中816件(約44.4%) | 3,536件中1,610件(約45.5%) |
通常枠の第1次から第4次までを合わせると、申請7,656件に対して交付決定は3,333件で、割合は約43.5%です。セキュリティ対策推進枠は件数が少なく、第1次から第4次の合計は申請156件に対して交付決定113件で、割合は約72.4%でした。第5次締切分の件数は、10月7日更新の時点ではまだ掲載されていません。
採択率の読み方と加点項目
通常枠では申請の半数以上が交付決定に至っていません。審査は提出書類で行われ、自社の経営課題を理解しているか、改善したい業務とツールの機能が合っているか、労働生産性の向上率はどうかといった点が見られます※1。不採択の理由は、事務局から通知される事項のほかは開示されません。
加点の対象には、クラウド製品やインボイス制度対応製品の選定、賃上げ計画の表明などがあります※2。中小機構の「IT戦略ナビwith」か「IT経営サポートセンター」の利用や、健康経営優良法人、くるみん、えるぼしの認定も加点の対象です。IT導入補助金2022から2025で交付決定を受けた事業者や、以前と同じプロセスのソフトウェアを入れる事業者には減点があり、プロセスが完全に一致すると不採択とされています。
申請前に社内で決めておくこと
この補助金の審査は、ツールの価格よりも、業務の課題とツールの機能が結び付いているかを重く見ています。IT導入支援事業者に相談する前に、社内で次の3点を決めておくと、提案を比べやすくなり、事業計画の数値にも根拠を書きやすくなります。
- どの業務の、どの作業に時間がかかっているか(担当者と月あたりの時間)
- ツールを入れたあと、誰がどの手順で使い、結果を誰が確かめるか
- 3年間の労働生産性と賃上げの目標を、自社の決算の数字で無理なく置けるか
IT導入支援事業者から提案を受けたら、事務局サイトのITツール検索で、そのツールが登録されているか、どのプロセスに当てはまるかを確かめてください。見積もりでは、ソフトウェアと役務の内訳、クラウド利用料が何年分か、交付決定までの期間に何をしてはいけないかを書面で確認しておくと、実績報告の段階で困りません。
業務の洗い出し方は業務の棚卸しの記事、デジタル化を一部の業務で止めない進め方はDXの記事にまとめています。最初の一歩としては、時間がかかっている業務を1つ選び、その作業の手順と月あたりの時間を書き出すところから始めてください。
よくある質問
中小企業や小規模事業者が、事務局に登録されたITツールを導入する費用の一部を補助する制度です。2025年までIT導入補助金と呼ばれていたもので、中小企業基盤整備機構が実施し、申請はIT導入支援事業者と組んで行います。
制度の仕組みはIT導入補助金を引き継いでおり、2026年から名前が変わりました。公募要領ではITツールのソフトウェアに「AIを含む」と明記され、申請枠には複数者連携デジタル化・AI導入枠が設けられています。過去のIT導入補助金の交付決定は、要件の上乗せや審査の減点に引き継がれます。
通常枠は補助額5万円から450万円までで、補助率は原則2分の1以内です。150万円以上を申請するには、業務プロセスを4つ以上持つツールであることと賃上げ目標が必要になります。インボイス枠はITツールが350万円までで、補助率は金額と事業規模で変わります。
申請できます。公募要領の中小企業等と小規模事業者の定義に個人事業主が含まれています。添付書類は、本人確認書類、所得税の納税証明書、税務署が受け取った確定申告書の控え、青色申告決算書または収支内訳書です。
事務局は採択率ではなく、締切ごとの申請数と交付決定数を公表しています。2026年の通常枠の第1次から第4次では、申請7,656件に対して交付決定3,333件で、割合は約43.5%でした(当社で計算)。
交付申請は2026年3月30日に始まりました。第6次の締切は10月30日17時で、交付決定日は12月10日の予定です。中小企業庁の公募一覧では、第7次の締切は12月1日とされています。第7次からは要件が変わるため、新しい公募要領を確かめてください。
対象になり得るのは、IT導入支援事業者が事務局に登録したITツールだけです。製品名だけでは判断できないため、事務局サイトのITツール検索で、ツールが登録されているか、AIの搭載有無を含む機能の概要はどうかを確かめてください。
導入するソフトウェアと対になった導入研修は、役務の費用として申請できる場合があります。ソフトウェアを伴わない社員研修は対象外なので、研修費は人材開発支援助成金など別の制度で検討します。
対象になりません。公募要領は、補助金の申請や報告にかかる申請代行費を補助の対象外と定めています。申請はIT導入支援事業者と共同で行いますが、申請マイページのIDとパスワードは申請者自身が管理し、第三者に渡さない決まりです。
補助の対象になりません。公募要領は、交付決定前に契約、発注、納品、支払いを行った場合は補助金を受けられないと定めています。契約は交付決定の通知を受けてから行ってください。
申請はできますが制限があります。IT導入補助金2025の通常枠などで交付決定を受けた事業者は、交付決定日から12か月以内は通常枠に申請できません。過去に交付決定を受けた事業者は、生産性や賃上げの目標が高くなり、審査でも減点されます。
参考文献
- ※1 デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)2026年2月27日作成・8月28日改訂 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(2026.10.26確認)
- ※2 デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠・第7回公募以降)2026年10月9日作成 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(2026.10.26確認)
- ※3 デジタル化・AI導入補助金制度概要 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(2026.10.26確認)
- ※4 事業スケジュール(デジタル化・AI導入補助金2026) 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(2026.10.26確認)
- ※5 交付決定事業者一覧(申請数および交付決定数、2026年10月7日更新) 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(2026.10.26確認)
- ※6 第7次公募回以降における制度変更のお知らせ(2026年10月9日) 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(2026.10.26確認)
- ※7 補助金の公募・採択 中小企業庁(2026.10.26確認)
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