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Gemini Notebook(旧NotebookLM)で社内マニュアルを「答えてくれるAI」にする方法

最終更新日 2026.05.04

監修:株式会社UNPLACED

「マニュアルはあるのに、結局いつも同じことを聞かれる」。この状態は、文書をつくり直さなくても解けます。手元の資料をそのまま読み込ませ、出典つきで答えるAIをつくる——その具体的な手順と、精度を落とさないための下ごしらえを整理します。

結論:文書をつくり直さなくても、出典つきで答えるAIはつくれる

社内の問い合わせ対応や新人教育の負担を減らしたいとき、多くの会社がまず考えるのは「マニュアルを整備し直す」ことです。しかしこれは時間もコストもかかり、しかも整備した直後から古くなっていきます。

先に試す価値があるのは、いま手元にある資料をそのまま読み込ませて、質問に答えさせるという方法です。Googleの Gemini Notebook(2026年7月まで NotebookLM という名前でした)は、この用途に向いた道具です。渡した資料の中だけを根拠に答え、どの資料のどこを見て答えたのかを示すという性質を持っているためです。

この記事で扱う範囲
社内文書を読み込ませて「答えてくれる状態」をつくるまでの手順と、精度・安全性を保つための実務上の注意点を扱います。ツールの契約手続きや料金プランの詳細には踏み込みません。上限などの数値は、Googleの公式ヘルプで確認できるものだけを載せています。

結論を先に言えば、必要なのは大がかりな整備ではなく、「どの文書を入れるか」を決めることと、元の文書側で最低限の下ごしらえをすることです。順に見ていきます。

Gemini Notebook(旧NotebookLM)とは — 2026年7月に名称が変わった

まず名称の話から整理します。Googleは2026年7月16日、NotebookLM を Gemini Notebook へ改称すると発表しました。公式ブログには「同じスタンドアロン製品であり、Googleのエコシステム全体でより多くのことができるようになる」という趣旨の説明が置かれています※1。名前が変わっただけで、別のサービスに置き換わったわけではありません。

実務上、気にすべき点は次の3つです。

  • 既存の共有リンクはそのまま使える。Google Workspace 向けの案内では、既存の共有ノートブックとユーザーのリンクは自動リダイレクトによって引き続き機能し、管理者側の対応は不要とされています※2。すでに社内で使い始めている場合も、作り直す必要はありません。
  • 表示は順次切り替わる。ロールアウトは2026年7月16日から始まり、15日以上かかる場合があるとされています※2。社内で「名前が違う」という混乱が起きたら、この移行期間の話だと説明すれば足ります。
  • Geminiアプリからも使える。Geminiアプリの中でノートブックを作成・閲覧でき、単独版との間で同期します。将来的には検索のAIモードにも組み込む予定とされています※1

もうひとつ、業務で効いてくる変更があります。各ノートブックに安全なクラウド上の実行環境が付き、読み込ませた資料をもとにコードを書いて実行し、データ分析まで行えるようになりました。公式ブログによれば、これは Google AI Ultra のユーザーと、Workspace の AI Ultra Access・AI Expanded Access を持つ法人が先行して利用でき、Pro ユーザーのウェブ版へは数週間かけて展開されるとされています※1。自社がどのプランに該当するかは、契約状況を管理部門に確認してください。

利用の広がりについては、公式ブログが「3,000万人以上、60万を超える組織が利用している」と述べています※1

一般的なチャットAIとの決定的な違い

ChatGPT や Gemini のような汎用のチャットAIと、Gemini Notebook は用途が違います。違いを一言でいえば、答えの根拠をどこから取るかです。

汎用のチャットAIGemini Notebook
答えの根拠学習した一般知識+その場で渡した情報渡した資料(ソース)
出典の表示あるとは限らないどの資料のどこかを示す
得意なこと発想を広げる、一般論を整理する、文章を書く手元の資料を正確に読み解く、根拠つきで答える
苦手なこと社内固有の事情を知らない資料に無いことは答えられない

この「資料に無いことは答えられない」という制約は、社内利用ではむしろ長所です。一般論で埋められてしまうと、読み手はそれが自社のルールなのか世間の一般論なのか区別できません。出典が示されていれば、答えを鵜呑みにせず元の文書に戻って確認できます。

したがって使い分けの方針は明確です。「社内の決まりごとを聞く」用途は Gemini Notebook、「文章をつくる・発想を広げる」用途は汎用のチャットAI。この線引きを最初に社内で共有しておくと、後々の混乱が減ります。

社内のどんな負担が減るのか

導入の目的が曖昧なまま始めると、「便利そうだが誰も使わない」で終わります。減らせる負担を具体的に3つ挙げます。

1つ目は、同じ質問への繰り返し対応です。経費精算の締め日、有給の申請手順、備品の発注ルール、システムのログイン方法。総務・経理・情シスには、こうした「どこかに書いてあるが探しにくい」質問が集中します。規程やマニュアルを読み込ませておけば、聞く側が自分で確かめられるようになります。

2つ目は、引き継ぎと新人教育です。担当者が代わるたびに、同じ説明を口頭で繰り返している業務は少なくありません。手順書・議事録・過去のやり取りをまとめて入れておけば、新任者は自分のペースで質問しながら把握できます。ここで効くのが出典表示で、「その根拠はどの文書か」まで辿れるため、教える側の確認負担も減ります。

3つ目は、長い資料を読む前の当たりをつける作業です。数十ページの仕様書や契約書、分厚い調査報告書を前に、どこを読むべきか探すだけで時間が溶けます。要点を出させてから該当箇所に飛ぶ、という進め方ができます。

逆に、向いていない用途もはっきりしています。最新の外部情報を知りたい、社内に文書として存在しない判断を求めたい、といった用途には使えません。「資料の中だけで答える」という性質の裏返しです。

何を入れるか — 対応するソースと、文書の選び方

読み込ませる資料のことを「ソース」と呼びます。公式ヘルプに挙げられている対応形式は次のとおりです※3

分類対応するもの
GoogleドライブGoogleドキュメント、Googleスライド(最大100枚)、Googleスプレッドシート
ファイルPDF、Microsoft Word、PowerPoint、テキスト、Markdown、CSV、ePub
ウェブウェブサイトのURL、YouTube動画のURL(公開かつ字幕付き)
その他音声ファイル(MP3・WAV等)、画像(avif・bmp・gif・heic 等)、コピーして貼り付けたテキスト、Geminiのチャット

社内文書のほとんどはこの範囲に収まります。紙しかない資料はスキャンしてPDFにすれば読み込めますが、文字が画像として埋め込まれているだけのPDFは精度が落ちます。可能なら文字情報を含むPDFにしてください。

制限として押さえておくべき数値は次の3点です※3

  • 1つのソースは最大50万語まで。通常の社内文書でこの上限に当たることはまずありません。
  • アップロードできるファイルは200MBまで。図表を大量に含むPDFでは意識する場面があります。
  • 無料プランでは1つのノートブックに最大50個のソース。上位プランでは増やせるとされています。

モバイルアプリでは追加できるソースの種類が制限される場合があるとされています※3。最初の構築はパソコンから行うのが確実です。

最初に入れるべき社内文書の選び方

ここが成否を分けます。手当たり次第に全社の文書を放り込むと、古い版と新しい版が混ざり、矛盾した答えが返るようになります。出典が示されるとはいえ、読む側は毎回2つの文書を突き合わせることになり、かえって手間が増えます。

選ぶ基準は3つです。

  • いま有効な最新版であること。改訂前の版、下書き、個人の手控えは入れません。「どれが正本か」が決まっていない文書は、先にそれを決めるほうが先決です。
  • 問い合わせが実際に多い領域であること。使われない領域の文書を入れても効果は測れません。総務・経理・情シスに「先月よく聞かれたこと」を3つ挙げてもらうのが早道です。
  • 公開範囲が同じであること。全社員が見てよい文書と、一部の役職者だけが見てよい文書を同じノートブックに入れてはいけません。詳しくは共有の章で述べます。

実務的には、目的ごとにノートブックを分けるのが扱いやすくなります。たとえば「就業・人事の手続き」「経費と購買のルール」「情報システムの使い方」といった単位です。1つに全部入れるより、答えの精度も上がり、公開範囲の管理も楽になります。ノートブックは100件まで作れるとされています※4ので、分けることを惜しむ必要はありません。

部署別のノートブック構成例

「どの単位で分けるか」がいちばん迷うところなので、よくある構成例を挙げます。そのまま真似する必要はありませんが、自社で考えるときの下敷きになります。

ノートブック入れる文書想定する質問公開範囲
就業・人事の手続き就業規則、休暇・勤怠の運用ルール、各種申請の手順書、社内FAQ有給の申請期限は/慶弔休暇は何日/育休の手続きの流れは全社員
経費と購買のルール経費精算規程、旅費規程、購買・発注の手順、上限額の一覧締め日はいつ/領収書が無いときは/この金額は誰の承認が要るか全社員
情報システムの使い方各システムの操作手順、アカウント申請の手順、セキュリティルールパスワードを忘れたときは/外部共有の可否/新しい端末の申請方法全社員
営業部の業務手順提案の型、見積のルール、契約書の雛形の使い分け、過去案件の記録この条件で見積を出すには/値引きの決裁ラインは/類似案件の実績は営業部
製造・品質の基準作業標準書、検査基準、是正処置の記録、安全教育資料この不具合の判定基準は/記録の保存年限は/過去に同じ事例はあるか製造部

この表で意識してほしいのは、「想定する質問」を先に書いていることです。文書を集めてから「何が聞けるだろう」と考える順序だと、たいてい使われないものができあがります。逆に、実際に来ている質問から出発して必要な文書を逆算すると、初日から使えるものになります。

なお、議事録や日報のように日々増えていく文書を入れる場合は、対象期間を決めてください。「直近1年分」といった区切りがないと、古い決定と新しい決定が混ざります。

手順:ノートブックを1つ立ち上げる

実際の作業は難しくありません。1つ目のノートブックは、慣れた人なら30分ほどで形になります。

1. 決める対象の業務領域と読み手
2. 集める最新版の文書だけを集約
3. 入れるソースとして追加
4. 試す実際の問い合わせで検証
5. 直す元の文書側を修正

ステップ1:対象と読み手を決める。「経費精算について、経理以外の全社員が自分で調べられるようにする」といった粒度まで具体化します。ここが曖昧だと、入れる文書も評価基準も決まりません。

ステップ2:最新版の文書を1か所に集める。この作業の過程で、たいてい「正本がどれか分からない文書」が見つかります。それ自体が有益な発見です。見つかったら、AIの構築を進める前にそちらを片付けてください。

ステップ3:ソースとして追加する。Googleドライブからの取り込みなら、複数ファイルをまとめて選べます。1つずつ入れるより、関連する文書をまとめて入れたほうが、文書間をまたいだ質問に答えられるようになります。

ステップ4:実際の問い合わせで試す。ここを飛ばしてはいけません。担当者に「先月実際に聞かれた質問」を10個ほど出してもらい、そのまま投げます。作った人が思いつく質問ではなく、現場が実際に使う言葉で試すことが重要です。

ステップ5:答えられなかった質問を元の文書に反映する。ここが本当の成果です。答えられない質問は、ほとんどの場合元の文書に書かれていないことを意味します。AIの設定をいじるのではなく、元の文書を直します。これを繰り返すと、副産物として社内文書そのものの品質が上がっていきます。

精度を上げる下ごしらえ — 元の文書側でやること

「答えが的外れだ」という不満のかなりの部分は、ツール側ではなく元の文書側に原因があります。よくある4つと、その直し方を挙げます。

症状元の文書側の原因直し方
矛盾した答えが返る旧版と新版が両方入っている旧版を外す。改訂履歴は別ノートブックへ
答えが曖昧になる「原則として」「別途定める」だけで具体が無い元の文書に具体的な条件・数値・期限を書く
表の内容を読み違える結合セル・注釈記号が多い複雑な表表を単純化するか、要点を文章でも併記する
該当箇所を示せない見出しが無い、長文が一続きになっている見出しを付け、1項目1段落に分ける

加えて、ファイル名と文書のタイトルを実態に合わせることも効きます。「最新版_修正版_final2」のような名前は、どれが有効なのかAIにも人にも判断できません。「経費精算規程_2026年4月改訂」のように、内容と時点が分かる名前にしてください。

この下ごしらえは、AIのためだけの作業ではありません。人が読んでも分かりにくい文書は、AIにも読み解けないという単純な話です。裏を返せば、ここで直した内容は人にとっての読みやすさにも直結します。

質問の書き方と、出典の確かめ方

使う側にも少しコツがあります。研修で伝えるべき要点は3つです。

1つ目、状況を添えて聞く。「有給について教えて」より「入社8か月の契約社員が有給を取る場合、何日前までに誰に申請するか」のほうが、はるかに正確な答えが返ります。曖昧な質問には曖昧な答えしか返らないのは、人に聞く場合と同じです。

聞き方返ってくるもの
経費精算について制度全体の要約。知りたいことが埋もれる
3月20日に立て替えた交通費を、いつまでに誰へ申請するか締め日・提出先・必要書類が具体的に返る
契約書のルール一般的な注意点の列挙
取引金額300万円の業務委託契約で、誰の承認が必要か金額区分に対応した決裁者が返る

コツは、「立場」「時期」「金額や日数」のうち、当てはまるものを1つ以上入れることです。この3語だけ覚えてもらえば十分です。

2つ目、答えの根拠を必ず開く。示された出典をクリックして、元の文書の該当箇所を目で確認する習慣をつけます。とくに金額・期限・可否の判断が絡む質問では、出典の確認を必須にするルールにしてください。要約の過程で条件が落ちることは起こり得ます。

3つ目、答えられなかったら報告してもらう。「載っていませんでした」という報告は、文書の不足を示す貴重な情報です。報告先を決めて、月に一度まとめて元の文書に反映する運びにすると、仕組みとして回り始めます。

なお、無料で使える範囲には1日あたりのやり取り回数などの上限があります。公式ヘルプでは、1日のチャットのクエリ数の上限や、音声生成の1日あたりの回数が示されています※4。全社で本格的に使う段階になったら、プランの見直しを検討してください。

NotebookLMを表すイメージ。白い机に置かれたノートパソコンと、重ねたカード、積まれた書籍。背景に薄い波状の線

チームで使う — 共有・権限と、社内ルール

個人の作業効率化で終わらせず組織で使うなら、公開範囲の設計が最重要になります。ここを誤ると、情報の取り扱いという意味で最も重い事故につながります。

原則は単純です。ノートブックの公開範囲は、その中に入っている最も機密度の高い文書に合わせる。全社員が見てよい規程と、一部の管理職だけが見てよい人事情報を1つのノートブックに入れれば、そのノートブックは管理職限定にせざるを得ません。結果として、本来全社員が使えたはずの規程まで使えなくなります。

だからこそ前述のとおり、公開範囲ごとにノートブックを分けるのが正解です。設計としては次の3段階に整理すると扱いやすくなります。

  • 全社員向け… 就業規則、経費・購買のルール、システムの使い方、社内用語集
  • 部署内向け… その部署の業務手順、担当先の情報、過去案件の記録
  • 限定… 人事情報、未公表の経営情報、個人情報を含む記録。そもそもAIに読み込ませてよいかを先に判断する

また、共有を始める前に「誰がその文書を更新するのか」を決めておくことも忘れないでください。読み込ませた資料が古くなっても、ノートブック側は自動では気づきません。更新の責任者が不明なまま運用すると、半年後には誰も信用しない仕組みになります。

情報セキュリティと社内ルールの決め方

「社内文書をAIに読ませて大丈夫か」という懸念は当然のものです。精神論で押し切らず、次の順で決めてください。

第一に、契約形態を確認する。個人向けの無料アカウントで使うのか、会社として契約した Google Workspace で使うのかで、データの取り扱いは変わります。これは自社の契約内容と提供元の規約を確認して判断すべき事項であり、記事の一般論で代替できません。情シスまたは契約担当に、自社の契約でどう定められているかを必ず確認してください。

第二に、入れてよい情報の線引きを文書で決める。「個人情報を含む文書は入れない」「未公表の財務情報は入れない」「顧客から預かった資料は入れない」といった禁止事項を具体的に書きます。禁止だけを並べるのではなく、「これは入れてよい」という許可の側も明示すると、現場が萎縮せずに使えます。

第三に、確認の体制を決める。AIの答えをそのまま社外に出さないこと、金額や期限に関わる判断は必ず元の文書で確認すること、といった運用上のルールです。

この3点は、生成AI全般の社内ルールと共通する部分が大きくなります。ツール単位でばらばらに決めるより、全社の方針として一度整理するほうが結果的に早く進みます。何から決めるべきかは、生成AIが社内で使われない理由と、定着のさせ方で整理しています。

NotebookLMを表すイメージ。印刷した原稿を手に取り、ノートパソコンの画面の文面と見比べている様子

既存の仕組みとの使い分けと、よくある誤解

「すでに社内Wikiがある」「検索機能がある」「チャットボットを入れた」という会社も多いはずです。競合するものではなく、役割が違います。

手段得意なこと限界
社内Wiki・共有フォルダ文書を置く、履歴を残す、正本を管理する「どこに書いてあるか」を知らないと辿り着けない
ファイル検索キーワードが一致する文書を見つける言い回しが違うと当たらない。複数文書にまたがる答えは出せない
従来型のチャットボット想定問答が用意された質問に即答する想定外の聞き方に弱い。問答の整備コストが継続的にかかる
Gemini Notebook複数の文書を読み解いて、根拠つきで答える渡した資料に無いことは答えられない。文書が古ければ答えも古い

実務上は、正本の置き場としてWikiや共有フォルダを維持し、その中身を読ませる先として Gemini Notebook を使うという関係になります。ここを取り違えて「Wikiをやめてノートブックに移す」と考えると、版管理も権限管理も破綻します。

従来型のチャットボットとの最大の違いは想定問答を作らなくてよいことです。裏を返すと、答えの範囲を厳密に制御したい用途——社外の顧客向けの一次対応など——には、そのままでは向きません。社内向けから始めるのが順当です。

導入前によくある4つの誤解

提案時によく出る誤解を、先に解いておきます。

誤解1「マニュアルを全部整備し直さないと始められない」。逆です。使いながら不足を見つけて直すほうが速く、直すべき箇所も実際の質問から特定できます。完璧を目指して着手が半年遅れるより、不完全な文書で始めて2週間で改善するほうが実利があります。

誤解2「AIが勝手に社内文書を学習して外に漏れる」。データの取り扱いは契約形態によって定められており、「AIだから漏れる」という一般論は成り立ちません。裏返せば、確認しないまま使うことが危険なのです。

誤解3「導入すれば問い合わせがゼロになる」。なりません。文書に書かれていない判断や例外的な相談は残ります。目指すべきは「文書に書いてあることを聞かれる回数を減らす」ことで、ゼロを目標に置くと達成できずに取り組み自体が失敗と評価されてしまいます。

誤解4「一度作れば手離れする」。これがいちばん危険です。規程は改訂され手順も変わりますが、読み込ませた資料が古くなってもノートブック側は何も教えてくれません。古い答えを自信ありげに返す状態は、答えが返らない状態より厄介です。作る手間より、保つ手間のほうを設計する必要があります。

定着のさせ方 — 小さく始めて広げる

最後に進め方です。全社一斉に始める必要はなく、むしろ避けるべきです。

まず1部署・1テーマで作る。問い合わせが多い領域を1つ選び、そこだけでノートブックを作ります。目標は「その部署の問い合わせが目に見えて減ること」ひとつに絞ります。複数の目標を同時に置くと、どれも達成できません。

次に、実際の問い合わせで2週間まわす。この期間に答えられなかった質問を集め、元の文書に反映します。ここで文書の質が上がるため、2週間後には初日より明らかに使えるものになっています。この期間を置かずに全社展開すると、「答えられなかった」という第一印象だけが広まり、挽回が難しくなります。

そのうえで、隣の部署に見せる。抽象的な効果を説明するより、同じ社内で動いているものを見せるほうが早く伝わります。このとき、作り方そのものより「元の文書をどう直したか」を共有すると、他部署でも同じ手順を再現できます。

効果の測り方は簡単なもので構いません。「その領域の問い合わせ件数」を導入前と3か月後で比べる、あるいは担当者に体感を聞く。精緻さより続けられる測り方を選び、導入前に一度だけでも件数を数えておいてください。

運用が回り始めたら、更新の担当と頻度を決めて常設化します。規程改訂の作業手順そのものに「ノートブックのソースを差し替える」を組み込むのが確実です。別作業として切り出すと、いつか必ず抜けます。

組織全体でAI活用を進める文脈でこの取り組みを位置づけるなら、AIリスキリングとは?企業と個人の進め方・必要スキル・支援制度で全体像を整理しています。ツールの導入は入口で、業務そのものをどう再設計するかが本題です。

最初の1週間でやることチェックリスト

着手する人がそのまま使える形にまとめます。1日で全部やる必要はありません。

  • 1日目:対象を1つ決める。総務・経理・情シスのいずれかに「先月よく聞かれた質問」を3つ挙げてもらい、その領域を対象にする。
  • 2日目:契約形態を確認する。会社として契約したGoogle Workspaceで使えるのか、個人アカウントしかないのかを情シスに確認する。ここが未確認のまま社内文書を入れない。
  • 3日目:最新版の文書だけを集める。「正本がどれか分からない文書」が出てきたらリストに残す。後で効いてくる。
  • 4日目:ノートブックを作って読み込ませる。公開範囲は最も機密度の高い文書に合わせる。迷ったら分ける。
  • 5日目:実際の質問10個で試す。作った人ではなく、現場の担当者の言葉で試す。答えられなかった質問を記録する。
  • 翌週:元の文書を直す。答えられなかった原因のほとんどは文書側にある。直してから、その部署内で共有を始める。

この1週間で「自社の文書のどこが足りていないか」は明確になります。仮に導入をそこで止めても、その発見だけで元は取れます。

よくある質問

同じサービスです。Googleが2026年7月16日に NotebookLM を Gemini Notebook へ改称しました。公式には「同じスタンドアロン製品」と説明され、既存の共有ノートブックやリンクは自動リダイレクトで引き続き機能します。

無料の範囲でも利用できますが、1つのノートブックに追加できるソース数や、1日あたりのやり取りの回数などに上限があります。上位のプランでは上限が引き上げられます。全社で本格的に使う場合は、契約担当と相談してプランを検討してください。

Googleドキュメント・スライド・スプレッドシート、PDF、Word、PowerPoint、テキスト、Markdown、CSV、ePub、ウェブサイトのURL、公開かつ字幕付きのYouTube動画、音声ファイル、画像などに対応しています。紙の資料もスキャンPDFで読み込めますが、文字情報を含む形式のほうが精度が上がります。

あり得ます。渡した資料の中から答える仕組みですが、要約の過程で条件が落ちることは起こります。だからこそ出典表示が重要で、金額・期限・可否の判断が絡む質問では、示された出典を開いて元の文書を確認する運用にしてください。

契約形態で扱いが変わるため、一般論では判断できません。個人アカウントか会社契約のGoogle Workspaceかを確認し、入れてよい情報の線引きを文書化してから運用してください。

分けることをおすすめします。版の混在による矛盾した答えを防げること、公開範囲を文書の機密度に合わせて設定しやすくなることが理由です。

多くの場合、原因は元の文書側にあります。旧版が混ざっていないか、具体的な条件や数値が書かれているか、見出しがあって該当箇所を特定できるかを順に見直してください。

1つ目のノートブックを作るだけなら、対象を絞れば数十分で形になります。ただし実務で使えるようにするには、実際の問い合わせで2週間ほど試し、答えられなかった質問を元の文書に反映する期間を見込んでください。

参考文献

  1. ※1 NotebookLM is now Gemini Notebook(公式ブログ・2026年7月16日) Google(2026.08.02確認)
  2. ※2 NotebookLM is now Gemini Notebook(Google Workspace Updates・2026年7月16日) Google Workspace(2026.08.02確認)
  3. ※3 ノートブックの新しいソースを追加または検索する Gemini Notebook ヘルプ(2026.08.02確認)
  4. ※4 よくある質問(利用上限) Gemini Notebook ヘルプ(2026.08.02確認)

Author

株式会社UNPLACED

「場所にとらわれず、居場所をつくる。」を理念に、企業向けのAI基礎研修・AIコンサルティング、ジュート由来の生分解性プラスチック「ソナリ」、ワークマネジメントサービス「OginAI」を提供しています。人手不足・DX・環境対応という経営課題に向き合う企業と伴走します。

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この記事は株式会社UNPLACEDが制作しています。掲載内容は公開時点の情報にもとづくもので、制度や仕様は変更される場合があります。

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